睡眠時間を削らない労働は不労所得

睡眠時間を削らない不労所得

死にもの ぐるいという言葉があるが、まさにその表現どおり、睡眠時間を削れるだけ削って、ぶつ倒れる ほど勉強した のだから、これはどう考えても無謀以外の何物でもないし、そこにあるすべてに圧倒されたのは そんな環境の中で、私は次第にアメリカの市場主義的な世界観の中に没頭していった。

 

いや、 没頭したと表現したのでは生ぬるい。「かぶれた」のである。 これに対して、アメリカの大学ははるかに競争的でフェアであった。 一例を挙げれば、ハーバードで博士号を取った人がどれほど優秀であっても、原則としてその ままハーバードで職を得ることはできない。いったんはどこかほかの大学で「武者修行」をし、そ こで優れた業績を上げないかぎりハーバードに戻って職を得ることはできなかった。

 

指導教官の お眼鏡にかなったという理由さえあれば、極端な話、一編の論文も書かずとも後継者に収まるこ とができる日本の大学とは大違いだった。 話を戻せば、たしかに大学院で要求される勉強の量は想像を絶するものだったが、教育カリキュ ラムそのものは、実に体系立っていて合理的にできていた。私のように学部時代にろくに勉強し ていない人間であっても、綿密なカリキュラムにしたがって着実に勉強をしていけば基礎から上 級理論まで自然と身につく、懇切丁寧な教育体制が出来上がっていた。 猛烈なスピードで進められる授業についていくのは並大抵ではなかったが、それに耐えさえす れば、二年間でマクロ経済学、ミクロ経済学、経済史、計量経済学など、近代経済学の基礎的体 系が頭に入るようになっていた。