経済と不労所得と投資について

不労所得と経済について

「世 の中にはこんなに頭のよい連中がいたんだ」と生まれて初めて思い知らされたのである。 しかし考えてみれば、もともと輸出営業で毎日のように接待で飲んだくれ、アカデミックな世 界とは隔絶されたところにいたわけで、何の下準備もない人間がいきなり博士課程に飛び込んだ 1してい先になった」というのが正直な感想であった。猛烈な勉強が始まった。授業のスピードと事前に読 んでおかなければならない教材の膨大さ(専門性の高い文献ばかりで一日あたり一○○ページ以 あぜん上はあったと思う)に唖然とする毎日だった。

 

サラリーマン時代、周りにいた同僚や先輩諸氏は今から考えてもよい人ばかりだったが、みん な似たり寄ったりで、失礼ながら「頭がいいなあ」と感じる人もいなかった。 力経済学の虜になり、とりわけ、(一定の仮定のもとに展開される)マーケット理論の精繊さ、理 論体系全体の完成度の高さには敬意を表するようになっていった。その過程で、私は次第に「ア メリカかぶれ」になっていったのである。 だが、今にして思えば、それもやむを得なかった。アメリカの大学システムはいまだに世界ナンバーワンの競争力を誇る。遅れた日本の大学しか知らない私が圧倒されたのは当然だった。日本の大学の経済学部の多くでは、学生たちは教授を 中心とした「タコ部屋」社会の中にいた。 学生たちは先生の狭い専門分野に閉じ込められ、与えられたテーマだけを勉強していればよかった。

 

 

人事にしても透明性などあるはずもなく、多少勉強ができ、教授に気に入られれば、研究者として国際的な業績のあるなしにかかわらず後継者になることさえもできた。今は少しずつ良くなっているとはいえ、当時はそんな閉鎖的な社会だった。 だが、今さらすごすごとシッポを捲いて戻るわけにはいかない。そんなことをすれば、「だから言わんこっちゃない、人の忠告を聞かないからだ」とみんなにバカにされるだけだ。